悪性リンパ腫診療update in 2008 最新のエビデンスに基づく診断と治療
悪性リンパ腫を知る 病態の理解に必要な基礎知識 悪性リンパ腫の発症機序
杉本 耕一
1
1順天堂大学 医学部血液内科
キーワード:
Burkittリンパ腫
,
Hodgkin病
,
リンパ腫
,
リンパ腫-B細胞性
,
リンパ腫-濾胞性
,
リンパ腫-びまん性大細胞型B細胞性
,
リンパ腫-辺縁帯B細胞性
Keyword:
Burkitt Lymphoma
,
Hodgkin Disease
,
Lymphoma, Follicular
,
Lymphoma
,
Lymphoma, B-Cell
,
Lymphoma, Large B-Cell, Diffuse
,
Lymphoma, B-Cell, Marginal Zone
pp.216-220
発行日 2008年8月1日
Published Date 2008/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008287670
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悪性リンパ腫では、しばしば免疫グロブリン遺伝子が関連する染色体転座が認められ、その結果細胞増殖の亢進とアポトーシスの抑制が起こる。濾胞性リンパ腫はBcl-2の恒常的な発現によりアポトーシスが抑制されるために、抗癌薬への反応性が乏しく治癒にいたらない。Hodgkinリンパ腫では多くの機序でNF-κBが恒常的に活性化し、アポトーシスが強力に抑制されている。MALTリンパ腫でも転座によるIAP2-MALT1キメラ蛋白質の発現等により、恒常的なNF-κBの活性化がみられる。Burkittリンパ腫は、Mycの活性化により増殖がきわめて速いと同時に、アポトーシスを起こしやすい特徴をもつ。本症の約40%では転座によりBcl-6が恒常的に発現するが、これにより胚中心B細胞から先への細胞分化が抑制され細胞増殖が持続する。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫でもNF-κBの活性化が、病態生理に重要な役割を果たすが、その大部分は転座や遺伝子変異によるものではない。
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