心・肺移植後の合併症
肺移植 感染の問題からみたドナー肺評価 どこまで移植可能か
岡田 克典
1
,
松村 輔二
,
星川 康
,
大石 久
,
野田 雅史
,
佐渡 哲
,
石田 格
,
星 史彦
,
遠藤 千顕
,
宮本 彰
,
保坂 智子
,
新井川 弘道
,
海津 慶子
,
近藤 丘
1加齢医学研究所 呼吸器再建研究分野
キーワード:
X線診断
,
気管支鏡法
,
酸素
,
ドナー
,
脳死
,
肺
,
肺移植
,
肺炎
,
後向き研究
,
術後感染症
,
動脈血酸素分圧
Keyword:
Bronchoscopy
,
Brain Death
,
Lung
,
Oxygen
,
Radiography
,
Pneumonia
,
Retrospective Studies
,
Tissue Donors
,
Lung Transplantation
pp.976-981
発行日 2007年10月1日
Published Date 2007/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007346100
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脳死肺移植を行った9例を対象として、ドナー肺の所見と移植後肺炎発症との関連をレトロスペクティブに検討した。9例中8例で術後肺炎を発症することなく経過した。このうち7例のドナー肺は、X線上移植側肺野が清明で、かつPaO2がおおよそ400Torr以上、更に気管支鏡上膿性痰がないか少量であった。もう1例のドナー肺はX線上両側肺野に軽度の浸潤影があり、Pao2も322Torrとやや低下していたが、気管支鏡上膿性痰がそれほど多くなく、レシピエントの呼吸器不全が進行していたことを勘案して移植を決定し、含気不良部分を切除してから移植を行った。9例中1例でカルバペネム耐性緑膿菌による肺炎を発症し、最終的に敗血症で死亡した。本例のドナー肺はX線像、血液ガス所見とも良好であったが、気管支鏡上膿性痰がやや多く、気道粘膜が乾燥しているような所見が見られ、cefozopranが9日間投与されていた。X線像上、移植側肺野が清明で、かつPao2がおおむね400Torr以上、さらに気管支鏡上膿性痰がないか少量であったドナー肺を移植に供した場合、移植後に肺炎を来した症例は無いという結論を得た。
©Nankodo Co., Ltd., 2007