心・肺移植後の合併症
肺移植 肺移植後の横隔神経麻痺
佐野 由文
1
,
大藤 剛宏
,
豊岡 伸一
,
山根 正修
,
岡崎 恵
,
伊達 洋至
1岡山大学 大学院腫瘍・胸部外科
キーワード:
横隔神経
,
気管支拡張症
,
術後合併症
,
人工心肺
,
超音波診断
,
脳死
,
肺移植
,
肺高血圧症
,
肺腫瘍
,
麻痺
,
リビングドナー
,
リンパ脈管筋腫症
,
神経伝導速度
Keyword:
Bronchiectasis
,
Brain Death
,
Heart-Lung Machine
,
Hypertension, Pulmonary
,
Lung Neoplasms
,
Paralysis
,
Postoperative Complications
,
Phrenic Nerve
,
Ultrasonography
,
Lung Transplantation
,
Lymphangioleiomyomatosis
,
Living Donors
pp.993-997
発行日 2007年10月1日
Published Date 2007/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007346103
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肺移植を施行した45例(脳死肺移植7例、生体肺移植38例)のうち、横隔神経麻痺をきたした4例(8.9%)を対象として、その臨床的特徴と診断について検討した。4例中1例は両側麻痺であった。全例女性、平均24.8歳で、原疾患は肺リンパ脈管筋腫症2例、気管支拡張症および原発性肺高血圧症各1例であった。術式では両側の下葉を移植した生体肺移植3例、脳死両肺移植1例で、全例人工心肺補助下に移植手術を行った。全例で深呼吸時に胸部単純X線撮影を行い、患側の横隔膜移動距離は全て1.5cm以下であった。また超音波検査(Bモード)で深呼吸による横隔膜の動きを観察し、患側にて横隔膜の位置変化が少ないことを確認した。両側麻痺の1例ではMモード超音波で客観的なデータを得、横隔神経伝導速度検査で横隔神経伝導速度の低下を観察し得た。麻痺はいずれも一過性のものであった。両側肺移植例を横隔神経麻痺群4例と非麻痺群36例に分類し比較すると、横隔神経麻痺群では人工呼吸器から離脱するまでの日数、ICU退室までの日数、術後入院日数が長くなる傾向がみられた。
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