発行日 2008年3月1日
Published Date 2008/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008148982
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
65歳男。胸痛出現から2ヵ月経過頃より、労作時呼吸困難を自覚するようになった。心電図上、V1~V5でST上昇を認めた。血液・生化学検査所見では心筋逸脱酵素は正常化しており、急性前壁中隔心筋梗塞の亜急性期と診断した。緊急冠状動脈造影にて右冠状動脈(#2)、左前下行枝(#6)、対角枝(#9)に完全閉塞を認め、今回の責任冠状動脈である#6に対し経皮的冠状動脈形成術(PCI)を施行した。その後、入院後6日目より薬剤抵抗性で頻回の電気的除細動を要する心室頻拍(VT)発作が出現し、PCIによる残存心筋虚血の解除を試みたが、術中VTが頻発し断念した。外科的血行再建、左室後中隔の冷凍凝固術、Overlapping法による左室形成術を行い、術後14日目の造影像にて心機能の著明な改善を認めた。同時に行った経カテーテル的誘発試験でVTが誘発されたため、術後20日目に植え込み型除細動器(ICD)の装着を行い、術後2ヵ月で退院となった。術後2年10ヵ月の経過でICDの作動は確認されておらず、現在抗不整脈薬も内服していない。
©Nankodo Co., Ltd., 2008