悪性胸膜中皮腫の診断と治療
嚥下困難を伴う後縦隔腫瘍として発現した肉腫様胸膜中皮腫
富樫 賢一
1
,
保坂 靖子
,
佐藤 和弘
1長岡赤十字病院
キーワード:
嚥下障害
,
胸膜腫瘍
,
縦隔腫瘍
,
中皮腫
,
肉腫
,
肺切除
,
致死的転帰
Keyword:
Deglutition Disorders
,
Mesothelioma
,
Mediastinal Neoplasms
,
Pleural Neoplasms
,
Pneumonectomy
,
Sarcoma
,
Fatal Outcome
pp.49-52
発行日 2007年1月1日
Published Date 2007/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007110130
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症例1:46歳男。嚥下困難、胸痛、咳嗽の出現で受診した。MRIでは、気管分岐部を背側から圧排する5×3×5cm大の内部不均一な後縦隔腫瘍を認め、気管、食道へ浸潤が疑われた。開胸手術を行い迅速病理で肉腫と診断され、肺は合併切除するも胸膜播種を認め、過剰侵襲のおそれから気管と食道の合併切除を行い再建は施行しなかった。術後病理より、肉腫様胸膜皮腫の診断で、上縦隔の腫瘍残存部に60Gyの放射線照射とシスプラチンの全身投与を行ったが、術後6ヵ月で死亡した。症例2:76歳男。咳と胸焼け嚥下困難で受診し、後縦隔腫瘍と診断された。手術待期中に経口摂取不能となり当科入院となった。右胸水の貯留、右後縦隔を主座とする12×12×17cm大の腫瘍を認め左右主気管支、食道、心膜、横隔膜、右胸腔内への浸潤を疑った。また、大量の胸水貯溜により右下葉は無気肺となっていた。悪性腫瘍以外は不明で全身状態は著しく不良であった。患者の希望により開胸生検を行ったが、翌日に多臓器不全で死亡した。解剖所見より、肉腫様胸膜中皮腫と診断した。
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