発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007050562
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症例1(38歳女)。右自然気胸の再発で胸腔トレナージを施行するも改善を認めず、胸腔鏡下に横隔膜腱中心部の多数欠損孔を切除した。病理組織より子宮内膜所見を認め月経随伴性気胸と診断し、ホルモン療法・ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)を追加するも副作用出現のためadd-back療法にて治療を継続し再発なく経過している。症例2(40歳女)。過去に月経に随伴した右自然気胸を認め、今回右自然気胸の診断で胸腔トレナージを施行し一時的軽快するも再発し、胸腔洗浄液細胞診より子宮内膜に矛盾しない所見を認めたため、月経随伴性気胸と診断した。右中・下葉の各5mm大の嚢胞切除し横隔膜腱中心部の多数の小孔部分切除と縫縮を施行後にホルモン療法6ヵ月施行したが再発したため、肺尖部の嚢胞様胸膜肥厚部分の気漏部位を切除し、横隔膜欠損孔を縫縮し、その後の再発は認めていない。症例3(39歳女)。過去に2回の右自然気胸歴があり、今回再発性気胸で胸腔鏡下の肺尖部の線維肥厚性変化部、横隔膜腱中心部の小孔、菲薄化部分をステープラーによる切除術を施行した。横隔膜に子宮内膜所見を認め、6ヵ月間ホルモン療法終了後2回目を再発し、胸腔鏡下で肉眼的に異常を認めない中葉の臓側胸膜の気漏を認め切除し、再度ホルモン療法を開始し現在再発を認めていない。以上から、受胎可能な女性に発症する再発性自然気胸(特に右側)には月経随伴性気胸の関与も考慮する必要性が示唆された。
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