発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005017146
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肺癌で肺全摘の可能性のある患者72例を対象に一側肺動脈閉塞試験(UPAO)を施行し,右室拡張末期容量(RVEDV)比に関する検討を行った.平均肺動脈圧(mPAP),全肺血管抵抗係数,心拍数,RVEDV,右室仕事係数(RVSWI)は,UPAO施行により有意に増加し,右室駆出率(RVEF),右室駆出量(RVSV)は減少した.肺動脈楔入圧,心係数は施行前後で有意な変化は認めなかった.RVEDV比はRVEF比に逆相関したが,RVSV比は相関しなかった.心合併症の発生は全肺血管抵抗指数の絶対値,全肺血管抵抗(TPVR)比には相関しなかったが,RVEDV比1.2以上の患者に心合併症を有意に多く認めた.RVSWIの変化とRVEDVの変化をRVEDV比1.2で分けてプロットすると,その傾きに有意差を認めた.RVEDV比が高くなるにつれ,TPVR比とmPAP比の傾きは減少した.高いRVEDV比の症例では,右心後方負荷の上昇に際して肺動脈圧を上昇させることができず,心拍出量も減少して心不全を生じたと考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2004