発行日 2007年11月1日
Published Date 2007/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008056101
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例はコントロール不良の糖尿病を有する70歳女性で、動悸を主訴とした。BMI:26.0kg/m2,血圧:220/90mmHgであったが、D-dimer:0.7μg/mlと正常であった。診察中、一過性に低酸素血症を認めた。しかし、心電図、胸部X線像、心エコーに右心負荷の所見はなく、胸部CTにも明らかな肺塞栓はみられなかった。酸素・薬剤投与により血圧は正常化し、それに伴い低酸素血症も徐々に改善した。その後、肺血流シンチグラフィで左肺の血流低下域と下肢血管超音波で両側のひらめ静脈血栓を認め、これによる肺塞栓症と診断した。症例は約1ヵ月前から右下腿ふくらはぎ部を中心にこむら返りのような痛みを感じていた。こむら返りは糖尿病性神経障害を示唆する所見であるが、この症例のように深部静脈血栓の症状であったとすれば、糖尿病性神経障害の鑑別としてひらめ静脈血栓もあげる必要があると思われた。
©Nankodo Co., Ltd., 2007