発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004140233
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2000年2月~2002年3月までに,開心術中術後に出現した難治性心室頻拍(VT)に対してnifekalant hydrochlorideを用いた13例を対象とし,治療成績を検討した.疾患は虚血性心疾患6例,弁膜症7例であり,症例の傾向としては術前低左心機能例や緊急手術例,術後低心拍出量症候群(LOS)合併例が多かった.nifekalant hydrochloride投与により9症例(69.2%)にVTの消失・減少を認め,投薬による血圧や心拍数の低下に有意差はなかったが,投与後QTc時間の有意延長を認めた.また,LOS合併例では心不全の増悪はなく,Torsades de pointesが発生した2例は投薬中止により軽快した.急性期の術後成績は10例が生存退院し,本薬剤投与によりVTの消失・減少を認めたものの経皮的心肺補助装置から離脱できなかった3例が死亡した.nifekalant hydrochlorideは開心術中術後の難治性VT,Vfの抑制・停止に有効であり,低心機能やLOS合併症例に対し選択すべき薬剤であると思われた
©Nankodo Co., Ltd., 2004