発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011042627
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
78歳男。患者は10年前に糖尿病性腎症の増悪で血液透析が導入された。今回、労作時息切れを主訴に受診、心エコーで高度の大動脈弁閉鎖不全症と左室駆出率31%の低心機能がみられた。また、術前からmexiletine hydrochlorideを内服していたが、最大6連発の心室性期外収縮を11.7%認められた。以上より、大動脈弁人工弁置換術の適応と判断し、手術の施行となったが、開心術後に致死性心室性不整脈が発生しやすいハイリスク症例であった。だが、通常量のnifekalant hydrochloride(NIF)を投与後、心室頻拍が抑制された時点で0.24mg/kg/時の低用量持続投与を行い、減量した。以後、投与11時間経過でQTcが0.57秒と延長を認め、投与を中止としたが、副作用としての危険な不整脈を来すことなく管理することができた。尚、患者は術後63日目に近医へ転院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010