特集 疾患エクソソーム:病をもたらすパンドラの箱がいま開かれる
【第1部:疾患とエクソソーム】 がんの悪性化におけるエクソソームの役割とその治療戦略
小坂 展慶
1
,
萩原 啓太郎
,
富永 直臣
,
落谷 孝広
1国立がん研究センター研究所 分子細胞治療研究分野
キーワード:
血管内皮
,
好中球
,
細胞間コミュニケーション
,
腫瘍
,
腫瘍転移
,
線維芽細胞
,
T細胞
,
erbB-2 Receptor
,
内皮細胞
,
エクソソーム
,
腫瘍悪性度
,
分子標的治療
,
腫瘍微小環境
,
SMPD3 Protein
Keyword:
Cell Communication
,
Endothelium, Vascular
,
Fibroblasts
,
Neutrophils
,
Neoplasm Metastasis
,
Neoplasms
,
T-Lymphocytes
,
Receptor, ErbB-2
,
Endothelial Cells
,
Exosomes
,
Molecular Targeted Therapy
,
Tumor Microenvironment
,
Neoplasm Grading
,
SMPD3 Protein, Human
pp.16-22
発行日 2012年12月22日
Published Date 2012/12/22
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多細胞生物にとって細胞間のコミュニケーションは必須の生命現象であり,その破綻は疾患へとつながる.特にがん細胞は,そのコミュニケーションを悪用するため,がん細胞とその周辺細胞の細胞間コミュニケーションの実態を研究することは,がんの生物学の解明のみならず,がんの診断・治療につながる.しかし,がんの悪性化におけるがん細胞とその微小環境を構成する細胞間相互作用はまだ十分に解明されておらず,新たなコミュニケーションツールの存在が示唆されている.本稿ではがん細胞から分泌されるエクソソームがその本体であると考え,近年の研究を総括する.また,この新たながん細胞のコミュニケーションツールであるエクソソームを標的とした治療法の開発の可能性を提示したい.
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