特集 抗腫瘍血管新生療法の新展開
NFAT-ANG-2による内皮活性化とダウン症因子DSCR-1 アクセル/ブレーキ内皮恒常性システムと抗がん制御
南 敬
1
1熊本大学生命資源・研究センター 表現型解析分野
キーワード:
シグナルトランスダクション
,
血管内皮
,
肺腫瘍
,
ホメオスタシス
,
遺伝子発現プロファイリング
,
内皮細胞
,
Angiopoietin-2
,
Vascular Endothelial Growth Factor A
,
NFATC転写因子
,
EGR3転写因子
,
エピゲノミクス
,
腫瘍微小環境
,
RCAN1 Protein
Keyword:
Endothelium, Vascular
,
Homeostasis
,
Lung Neoplasms
,
Signal Transduction
,
Gene Expression Profiling
,
Angiopoietin-2
,
Endothelial Cells
,
Vascular Endothelial Growth Factor A
,
NFATC Transcription Factors
,
Early Growth Response Protein 3
,
Epigenomics
,
Tumor Microenvironment
,
RCAN1 Protein, Human
pp.27-32
発行日 2015年12月22日
Published Date 2015/12/22
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筆者らによる血管内皮細胞のVEGF応答の網羅解析から,転写因子NFATやEGR3の活性化(アクセル)とそのブレーキ役としてダウン症因子(DSCR-1)の早期誘導システムが明らかとなった.しかし,がん微小環境では,このアクセル/ブレーキシステムが質的・量的に変化すること,すなわちサイトカイン産生や内皮規定性の変化,ならびにNFAT依存性のクロマチン動態の変化(エピゲノム修飾)が生じて,DSCR-1ブレーキを回避し,がん悪性化やがん転移につながることが示唆された.また,その一例としてVEGF刺激で誘導されるANG-2(Angiopoietin-2)が肺転移ニッチ環境で強く誘導され,肺がん転移を促進することを示す.このようにがん微小環境における内皮細胞の動態変化が血管床特異的ながん転移やVEGF阻害単独療法の問題点を克服するヒントになりうるだろう.
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