特集 3D-エピゲノムが生む新たな生命情報:細胞のメモリーとリプログラミング機構に迫る
ポリコーム複合体と染色体・核内構造
増井 修
1
,
古関 明彦
1理化学研究所免疫アレルギー科学総合研究センター 免疫器官形成研究グループ
キーワード:
ヌクレオソーム
,
ゲノム
,
ノックアウトマウス
,
遺伝子サイレンシング
,
遺伝子発現プロファイリング
,
細胞核の構造
,
染色体の構造
,
非翻訳RNA
,
胚性幹細胞
,
エピジェネティックプロセス
,
X染色体不活性化
,
Polycomb-Group Proteins
,
X Inactive-Specific Transcript (XIST)
Keyword:
Nucleosomes
,
Genome
,
Mice, Knockout
,
Gene Silencing
,
Gene Expression Profiling
,
Cell Nucleus Structures
,
Chromosome Structures
,
RNA, Untranslated
,
Epigenesis, Genetic
,
X Chromosome Inactivation
,
Embryonic Stem Cells
,
Polycomb-Group Proteins
,
XIST Non-coding RNA
pp.887-893
発行日 2012年7月22日
Published Date 2012/7/22
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ポリコーム群(PcG)遺伝子から発現するPcGタンパク質は,ポリコーム複合体(PRC)と呼ばれるタンパク質複合体を形成する.このPRCはゲノム上の特定部位に結合し,ヌクレオソームや染色体の構造を変換して近傍の標的遺伝子の発現を抑制状態に維持する.PRCは細胞分裂を隔てた遺伝子発現パターンの維持に寄与し,様々な細胞の運命決定に重要な役割を果たしている.本稿では,PRCについてこれまでに明らかになっている事象について概説し,PRCが細胞核内構造の変換を介して標的遺伝子の転写を調節するメカニズムについて解説する.また,PRCが関わる生命現象の具体的な例としてPRCとX染色体不活性化,Xist RNAなどの長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)との関わりについて紹介する.
Copyright © 2012, Gakken Medical Shujunsha Co., Ltd. All rights reserved.