特集 癌幹細胞の治療抵抗性とその打破
癌幹細胞とエピゲノム制御異常
指田 吾郎
1
,
千葉 哲博
,
岩間 厚志
1千葉大学 大学院医学研究院細胞分子医学
キーワード:
Histones
,
腫瘍遺伝子発現調節
,
腫瘍
,
腫瘍幹細胞
,
転座
,
DNAメチル化
,
エピジェネティックプロセス
,
Myeloid-Lymphoid Leukemia Protein
,
Polycomb-Group Proteins
,
分子標的治療
,
脱メチル化
,
TET2 Protein
,
Isocitrate Dehydrogenase 1
,
Isocitrate Dehydrogenase 2
Keyword:
Demethylation
,
Histones
,
Neoplasms
,
Translocation, Genetic
,
Neoplastic Stem Cells
,
Gene Expression Regulation, Neoplastic
,
DNA Methylation
,
Epigenesis, Genetic
,
Myeloid-Lymphoid Leukemia Protein
,
Molecular Targeted Therapy
,
Polycomb-Group Proteins
,
TET2 Protein, Human
,
Isocitrate Dehydrogenase 2, Human
,
IDH1 Protein, Human
pp.24-31
発行日 2011年12月22日
Published Date 2011/12/22
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DNAやヒストンタンパク質の化学修飾に代表されるエピジェネティックな転写制御機構の破綻が癌関連遺伝子の発現制御異常に関与することが広く認識され,その分子機構が急速に明らかにされつつある.同時期に解析が進んできた癌幹細胞という新しい研究領域の流れを汲み入れ,癌のエピジェネティクスを癌幹細胞発生の初期の段階から理解しようとする試みが行われている.このような試みは, ES細胞や組織幹細胞におけるエピジェネティック解析の進歩を取り入れ,徐々に成果を挙げつつある.癌幹細胞は必ずしも正常幹細胞から発症するとは限らないが,幹細胞の自己複製や幹細胞・前駆細胞の分化・生死に関わるエピジェネティック制御機構の破綻が癌幹細胞への“形質転換”の初期イベントとなる可能性は想像に難くない.本稿では,癌に関わるエピゲノム異常の最新の知見を広く紹介し,癌幹細胞性の獲得ならびに癌の発症機構を考察する.
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