特集 エピゲノム制御の最新分子メカニズム
セントロメア形成におけるエピジェネティクス
深川 竜郎
1
1大阪大学 大学院生命機能研究科
キーワード:
Histones
,
Lysine
,
ヌクレオソーム
,
翻訳後タンパク質プロセシング
,
セントロメア
,
培養細胞
,
メチル化
,
キネトコア
,
染色体分離
,
エピジェネティックプロセス
,
Centromere Protein A
Keyword:
Centromere Protein A
,
Cells, Cultured
,
Centromere
,
Histones
,
Lysine
,
Methylation
,
Nucleosomes
,
Protein Processing, Post-Translational
,
Kinetochores
,
Chromosome Segregation
,
Epigenesis, Genetic
pp.841-846
発行日 2015年8月22日
Published Date 2015/8/22
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染色体が娘細胞へ正確に分配されるためには,約100種類のタンパク質がセントロメアと呼ばれるゲノムDNA領域上に集合し,キネトコア(動原体)という巨大構造を形成しなければならない.多くの真核生物では,1本の染色体にセントロメアは1カ所のみ規定されるが,このセントロメア領域の規定はDNAの配列情報によらないエピジェネティックな分子機構によって行われると考えられている.この分子機構に重要な働きを担うのが,セントロメアに特異的に存在するヒストンH3バリアントのCENP-Aである.CENP-Aは,重要なエピジェネティックマーカーではあるが,CENP-Aがセントロメアへ取り込まれた後,どのような制御によってキネトコアが形成されるのかについては未知な点が多い.筆者らは最近,CENP-Aを含むヌクレオソーム内のヒストンH4の20番目のLys 残基がモノメチル化(H4K20me1)修飾されることを見いだした.本稿では,セントロメア形成機構に関わるエピジェネティックな分子機構について,最近の知見を含めて解説する.
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