特集 生物リズムの発振機構:生命の時間をデザインする
発生を制御する遺伝子発現リズム
影山 龍一郎
1
1京都大学ウイルス研究所
キーワード:
遺伝子発現
,
周期性
,
生物時計
,
理論モデル
,
ノックアウトマウス
,
Notch Receptors
,
神経幹細胞
,
胚性幹細胞
,
HES7 Protein
,
細胞発生
Keyword:
Biological Clocks
,
Models, Theoretical
,
Periodicity
,
Gene Expression
,
Mice, Knockout
,
Receptors, Notch
,
Embryonic Stem Cells
,
Neural Stem Cells
,
HES7 Protein, Human
pp.1256-1261
発行日 2011年11月22日
Published Date 2011/11/22
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発生過程では,あらかじめプログラムされたタイミングで細胞増殖や分化が起こり,組織が形成されていく.しかし,発生過程における遺伝子発現のタイミングを決める分子機構(生物時計)については多くの点が不明である.椎骨,肋骨,骨格筋のもとである体節は,マウスでは約2時間ごとに形成されるが,この体節形成過程の進行を制御する生物時計(分節時計)の実体が明らかになってきた.これは,bHLH型転写抑制因子Hes7の発現がnegative autoregulationによって2時間周期で振動することによるもので,Hes7の発現が振動しないと体節は癒合する.このような発現振動は神経幹細胞や胚性幹細胞(ES細胞)でも見られ,それぞれ重要な役割を担う.本稿では,分節時計および神経幹細胞とES細胞における短周期遺伝子発現リズムの分子機構や意義について概説する.
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