特集 生物リズムの発振機構:生命の時間をデザインする
KaiCタンパク質による概日時間
秋山 修志
1
,
近藤 孝男
2
1名古屋大学大学院理学研究科 生命理学専攻
2名古屋大学大学院理学研究科 生命理学専攻 教授,高等研究院院長
キーワード:
KaiCリン酸化リズム
,
ATPase
,
分子内フィードバック
Keyword:
KaiCリン酸化リズム
,
ATPase
,
分子内フィードバック
pp.1269-1276
発行日 2011年10月22日
Published Date 2011/10/22
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シアノバクテリアの3つのKai時計タンパク質(KaiA,KaiB,KaiC)は試験管内で概日時計の3つの特徴を満たす顕著なKaiCリン酸化リズムを示し,タンパク質により概日振動発生が可能なことを示している.KaiCはごく弱いATPase活性を示すがこの活性は温度補償され,さらに概日リズムの速さ(振動数)に比例する.ATPase活性の生理・生化学的解析から,KaiCではATP分解エネルギーが分子内フィードバックによりバネとして機能する内部緊張状態を生じ,これが調和振動子として機能し,リン酸化サイクルと協同することで,安定した自励振動を発生していると考えられる.この時計モデルに対応したKaiCの構造上の変動も見いだされている.
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