特集 プライマリ・ケアでみる睡眠の悩み
各論:さまざまな主訴に伴う睡眠の悩み
交替制勤務者の睡眠の悩みとその対応
新野 青那
1
,
山村 真佐子
2
1福井大学医学系研究科 統合先進医学専攻 地域総合医療学コース
2福井大学医学部附属病院 救急総合診療部
pp.442-444
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2024040020
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
交替制勤務(シフトワーク)の明確な定義はないが,“長い操業を実現するため,勤労者 が交替で就労する勤務時間編成方法”で,先進国の労働者のおよそ20%が従事する.シフ トによっては概日リズムと乖離した深夜業も含み,心血管疾患,がん,うつ病など,健康 への影響も大きい.概日リズムは睡眠のほか,体温調整や内分泌・代謝機能にもかかわる が,睡眠以外は意識的にコントロールすることは難しい.概日リズムのずれにより交替制 勤務従事者の5人に1人は過度の眠気と不眠を特徴とする交替制勤務障害(shift work disorder:SWD)を発症する.SWDは健康への悪影響や生活の質の低下に加え,パフォー マンスの低下,事故やエラーの増加を招く1).深夜業への適応には個人差があり,若年者 より高齢者,夜更かし型より朝型の人は耐性が低いことや,SWD発症者はメラトニン分 泌開始時間の遅延が起こりにくいことなどが知られている2).適応性に影響を与える個人 レベルの要因には,深夜業の経験の有無,既存の睡眠障害や身体的および精神的疾患,アル コールや薬物の使用,過去数週間の睡眠時間,および社会的・家族的責任などがある.
Copyright© 2024 NANZANDO Co.,Ltd. All Rights Reserved.