特集 プライマリ・ケアでみる睡眠の悩み
各論:さまざまな主訴に伴う睡眠の悩み
「寝ている間にやってしまう」への対応
降籏 隆二
1
,
根本 安人
2
1京都大学 学生総合支援機構
2漢方平和堂薬局
pp.438-441
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2024040019
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はじめに
睡眠随伴症(parasomnia)は,睡眠中や睡眠の前後にみられる望ましくない身体的な事 象や経験の総称であり,複雑な運動,行動,感情,知覚,夢および自律神経系活動が含ま れる.睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)では,睡眠脳波に基づいて,ノンレム睡眠関連 睡眠時随伴症群,レム睡眠関連睡眠時随伴症群,その他の睡眠時随伴症群と大きく3つに 分類され,そのなかにさらに個別の診断名がある(表1)1).しかし,プライマリ・ケアの 現場では,睡眠脳波のデータがあるわけではないので,この睡眠脳波を基にした診断分類 はなじみにくい可能性がある.睡眠随伴症により夜間に行動が引き起こされるときは,覚 醒時には前頭前野皮質により抑制されている「基本的欲動」の脱抑制をしばしば引き起こ す.このため摂食,暴力,性行動,排尿などの行動として現れることがあり1),こうした 特徴的な症状が受診のきっかけとなることが多い.プライマリ・ケアにおいては,各疾患 の特徴的な臨床症状を把握し,必要に応じて睡眠検査のできる睡眠専門医療機関と連携す ることが好ましい.本稿では臨床場面で遭遇する可能性が高いと考えられる疾患を中心に 診断分類と臨床的特徴を概説する.
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