特集 看取りについて考える
死生学の実践
「死」と「喪失」を共に受けとめ,助け合うコミュニティをつくる
竹之内 裕文
1
1静岡大学 未来社会デザイン機構
pp.1524-1527
発行日 2023年12月1日
Published Date 2023/12/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2023120016
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はじめに
生きていくなかで,わたしたちは大切なものの喪失を経験する.かけがえのない人と死 別し,やがて自らも死んでいく.喪失や死と無縁な人生などどこにもない.しかし,1 人 で喪失と死と向き合うのは難しい.大切な人や物を失うとき,病気・障害や老いとともに 生きることを余儀なくされるとき,さらに自らの死が迫るとき,わたしたちは誰かの助け やサポートを必要とする.古来「生老病死」と言い表されるように,わたしたちは無力な 状態で生まれ落ち,病気になり,やがて老い,死んでいく.だからこそ「死」と「喪失」を 共に受けとめ,助け合うコミュニティを必要とする. しかし何を足場に,そのようなコミュニティを育てたらよいのか.糸口の1つは「コン パッション(compassion)」にある.では「コンパッション」とはなにか.具体的な場面か ら考えてみることにしよう.
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