特集 発達障害×慢性疾患
発達障害への理解を深める
薬物療法と発達障害(ADHD)
今村 明
1
1長崎大学 生命医科学域保健学系作業療法学分野
pp.1014-1018
発行日 2023年8月1日
Published Date 2023/8/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2023080015
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ADHD の診断
ADHDは発達障害(最近では「神経発達症」と呼ぶことが多い)のうちの1つであり,不 注意症状(ミスが多い,注意集中が困難,ものを失くす,忘れっぽい,優先順位がわから ない,先延ばしをする,計画的にやることが難しいなど)と多動性・衝動性症状(動きすぎ る,しゃべりすぎる,落ち着かない,あまり考えずに行動する,待つことが苦手,何かに のめりこみやすいなど)の2つの症状が中心となる.その背景には実行機能障害(注意の持 続や計画的行動ができない,抑制がきかず衝動的な行動を起こすなど)や報酬系の障害(持 続的な報酬や刺激が得られないと注意が持続できない,報酬を待つことができず衝動的な 行動を起こすなど)などがあるといわれている. 診断のためには,①現時点で診断基準を満たしているか,②発達歴から,それが幼少時 から連続しているものと推定できるか,③ほかの発達障害の併存や,不安症やうつ病,依 存症(DSM-5の「物質関連障害および嗜癖性障害群」を本稿では一般によく使用される「依 存症」という言葉で表記する)などのいわゆる「二次障害」があるか,を検討する必要があ る.また当科ではこれに加えて,④ その人の「強み(特性上うまく活かせばプラスに作用 する傾向)」は何か,を検討することとしている.
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