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特集 ADHDをめぐる最近の動向
本邦におけるADHDの薬物療法をめぐる最近の動向
Recent Topics in Pharmacotherapy for ADHD in Japan
岡田 俊
1
Takashi OKADA
1
1名古屋大学医学部附属病院親と子どもの心療科
1Department of Child and Adolescent Psychiatry, Nagoya University Graduate School of Medicine, Nagoya, Japan
キーワード:
ADHD
,
Pharmacotherapy
,
Novel antihyperkinetic agent
,
Monitoring of adverse effects
Keyword:
ADHD
,
Pharmacotherapy
,
Novel antihyperkinetic agent
,
Monitoring of adverse effects
pp.253-258
発行日 2017年3月15日
Published Date 2017/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205349
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本邦におけるADHD治療の現状
注意欠如・多動症(ADHD)は,12歳以前から学校,家庭,職場などの複数の場面で認められる発達水準に不相応な多動-衝動性または不注意の一方あるいは両方によって診断される。DSM-Ⅳ-TRに基づく診断で,学童期では3〜7%,成人期では2.5%,DSM-5に基づく診断では,成人期を中心に診断基準が緩和されていることから,成人期の有病率は3.55%(27%増)になるものと推定されているなど7),有病率の高い神経発達症である。
本邦では,かつてADHDに対する承認薬がなく,メチルフェニデート速放錠が適応外処方として使用されてきた。速放錠の半減期は短いので日中をカバーするためには3分服が必要になるが,学校での服用はプライバシーや薬剤管理の面からも困難であり,朝の1回服用にとどまることが多かった。一定の薬剤の効果は自覚されていたが,メチルフェニデート徐放錠が入手可能となった現在から振り返ると,十分な薬物療法を実施しないままに,薬物療法の効果や是非を議論していたことは否めない。
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