特集 発達障害×慢性疾患
コラム
回避・制限性食物摂取症とは何か?
山田 恒
1
1兵庫医科大学 精神科神経科学講座
pp.950-951
発行日 2023年8月1日
Published Date 2023/8/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2023080016
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
回避・制限性食物摂取症(avoidant/restrictive food intake disorder:ARFID)とは, 摂食障害という食事摂取にかかわる精神障害の1つで,文字どおり,食物摂取を回避した り,制限したりすることで低体重・低栄養状態となる疾患である. アメリカ精神医学会の精神疾患の診断マニュアル(DSM-5)1)にて2013年から取り入れ られ,ICD -11にも採用されている.神経性やせ症(いわゆる拒食症)と呼ばれる食事摂取 量が低下し,低体重に陥っている摂食障害患者は,強いやせ願望,肥満恐怖があり,誰か ら見ても十分にやせているのに自分の体型を太いと感じるボディイメージの障害と呼ばれ る症状をもち,女性が圧倒的に多い.ところが,低体重に陥ってもそのようなやせ願望や 肥満恐怖をもたない一群がいることが明らかになり,そういった患者がARFID と診断さ れる.ARFIDは摂食障害患者の5 ~ 32%を占めると報告されており2),けっしてまれな 疾患ではない.そして神経性やせ症とは異なり,男性患者と低年齢が多いことが特徴でも ある. DSM-5の診断基準を下記に示す.
Copyright© 2023 NANZANDO Co.,Ltd. All Rights Reserved.