特集 発達障害×慢性疾患
発達障害への理解を深める
発達障害をもつ人の特性を踏まえた接し方の基本
青木 省三
1,2
,
鷲田 健二
2
,
和迩 健太
3
1公益財団法人慈圭会 慈圭会精神医学研究所
2公益財団法人慈圭会 慈圭病院
3川崎医科大学総合医療センター 心療科
pp.1009-1013
発行日 2023年8月1日
Published Date 2023/8/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2023080014
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発達障害に気づくと接し方が変わる
発達障害に気づくと,その人に対する見方が変わる.集団のなかに入らない人は「協調 性のない」人のようにみえることがあるが,それが発達特性の「社会性の障害」によるもの とわかると,そのような在り方もできるだけ尊重しようという姿勢になる.無口で自分の 考えを話さない人は「心に何か隠している」人のようにみえることがあるが,発達特性の 「コミュニケーションの障害」によるものとわかると「その人に応じたコミュニケーション」 について考えようという姿勢になる.頑なに自分を主張する姿勢は「わがまま」や「自己中 心的」な人のようにみえることがあるが,それが発達特性の「こだわり」によるものとわか ると,変えたくてもなかなか変えられない資質と理解することができる.理解が変わると, 接し方や支援も大きく変わることがある1). また,本人も,自分の弱さや気持ちの問題ではなく発達特性という,もって生まれた苦 手な部分と理解することにより,自責や自信喪失から解放されることもある.しかし,発 達障害と診断することにより,「障害」をもっていると過剰に意識することもあるので注意 がいる.
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