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COVID -19 と細菌性肺炎の合併は当初から注目されていた
COVID -19のパンデミック初期,武漢において非常に高い致死率であったことから,ウイルス性肺炎には二次性細菌性肺炎が合併しているかもしれないという見解が学会から示された1).というのも,インフルエンザやRSウイルスのように,呼吸器系のウイルス感染症には細菌感染症を合併することがあるためだ.実際,1918 ~ 1919年のインフルエンザの大流行時は,細菌性の市中肺炎が最多の死亡原因と考えられている2). 国内で感染が広がり,COVID -19患者の胸部CT画像所見であるすりガラス陰影は主にサイトカインストームが関与するウイルス性肺炎の増悪をみていることがわかった.アルファ株・デルタ株が国内に広まっていた時期では,糖尿病や肥満のある中高年層に両側肺炎を起こすことが多く,「中等症Ⅱの波」に日本の医療現場は疲弊した3).純粋に換気できる肺胞が少なくなり,低酸素血症を起こす頻度が高かった. COVID -19の肺炎は,病初期は肺胞の滲出液や浮腫が明確ではなくすりガラス陰影を呈し,経過とともに浸出液などが肺胞腔を占め浸潤影を呈するようになると推察される.急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)の経過と似ている.ただ,この浸潤影のフェーズが初診時だった場合,細菌感染症を合併している可能性があるとして抗菌薬治療が開始されることもあり得る. 医療従事者への感染性が高く,感染すれば診察する患者だけでなく医療従事者自身も致死的になるおそれがあったことから,喀痰検査や気管支鏡検査などは差し控えられていた.ゆえに,パンデミック当初,どの程度に細菌感染症が合併していたのか,現場としての実感は乏しい.
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