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目的
NICU退院後2〜3年が経過した児を持つ母親の、NICU入院中に受けたケアに対する思いを明らかにする。
対象と方法
児がNICUに入院経験のある親子が交流を持つための会に参加していた母親に、研究の目的、方法を文書及び口頭で説明し同意を得た後、インタビューガイドを基に20〜30分間の半構成的面接を行った。インタビュー終了後、面接内容から逐語録を作成し、児がNICU入院中に受けたケアに対する思いを示す語りを文脈単位で抜き出し、コード化した後、意味内容が類似するものを集めカテゴリー化し、分析した。
結果
育児期にある母親が児のNICU入院中に受けたケアに対する思いは【看護師の存在の大きさの実感】、【我が子と過ごす幸福感】、【我が子に対する思い】、【ケアに対する満足感】、【我が子が家族の一員となった実感】の5カテゴリーに分類された。
結論
本研究において育児期にある母親は、児のNICU入院中に受けたケアに対し、安心感や満足感を得ており、児に対する愛着を深めていくことができたと感じていることが明らかとなった。それらは入院中の児に対するケアだけでなく母親自身の身体的、精神的ニーズに向けたケアも挙げられていた。母親のニーズの充足に向けたケアを行うことで、児に対する肯定的感情が強まり、早期の母子愛着形成が促進されると考える。また、母親は育児期においても児への罪悪感を持ち続けており、それらはNICU入院中に受けたケアから想起される場合もあることが明らかとなった。こうした感情がNICUで受けたケアから呼び起され、育児困難感、さらには児童虐待に結びつく可能性もあることが考えられる。NICUでのケアが、育児期の母親に影響を与える可能性があることを考慮した、母子、そして家族に向けたケアを行う必要性が示唆された。
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