特集 今,子どもを看護する悩み
子どもの思いと看護者・母親の思いとのずれ
岡本 幸江
1
1公立学校共済組合関東中央病院看護部
pp.546-549
発行日 1997年6月1日
Published Date 1997/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905362
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昨今の少子化にともない小児の入院環境はさまざまになっている(添田・鈴木,1993).その中で,小児看護の現場では,子どもの援助について,ケースカンファレンスを行なったり,事例報告を重ねながら日々検討している.しかし,看護者は子どもの不安に対して積極的な取り組みをしているにもかかわらず,子どもに理解を求めたり,子どもを理解したり,不安を軽減することなどの問題解決に至っておらず,問題や悩みとして看護者に認知されていることが明らかにされている(広末,1993).また,最近は新聞,雑誌などで母親の育児不安が多く取り上げられている.ここにも母親の子どもとのやり取りに問題を生じていることがうかがえる.私が修士論文で入院中の子どもが表現していることに焦点を当て研究した結果の中では,子どもと看護者・母親との認識のずれがあることが浮き彫りになった.このことから,看護者のかかわりが問題解決につながらないのは,看護者と子どもとの認識のずれが原因の1つと考えられる.
そこで,筆者が実際に実践の場で直面した,看護者および母親と幼児期の子どもとのやりとりの場面を通して,認識のずれに焦点をあてて考えてみることにする.
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