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目的
将来、人工妊娠中絶ケアを担うであろう看護学生の人工妊娠中絶に対する思いがどのような体験から形成されているのかを明らかにすることである。
対象と方法
看護系大学の4年生3名に、インタビューガイドを用いて半構成的面接を実施した。逐語録を作成し、人工妊娠中絶について知った場面や考えた機会、その時に抱いた思いなどに関する内容を抽出した。抽出した文章を解釈し、コード化、カテゴリー化を行った。
結果
分析の結果、5つのカテゴリーから構成された。看護学生は親からの教えや性教育、妊娠や中絶を扱う作品や新生児に触れることなどから胎児を命と認識し、【中絶される胎児であってもひとつの命と捉える】体験をしていた。また、中絶について学び、自身のライフプランを考え、妊娠体験を聞くなどの体験から学生は胎児と女性の両者を尊重し、両者の立場を理解しようとすることで【中絶に対する思いの揺らぎ】が生じていた。さらに、親の教えや中絶を扱う作品、教育から性行為の命を孕む可能性について認識し、避妊行動の重要性を考えていた。そして幼少期の体験や看護教育、育児体験から中絶を避けるために子を生み育て易い環境作りを考えるようになり、【中絶を回避しようとする意志】が芽生えた。また、中絶を自己の中で認識した時期や手段が異なることで【中絶に対する見方の変化】が生じていた。そして不妊治療を学び簡単に産まれない命があることに気が付いた一方で、親からの教えや周囲の若者の様子から若者の性意識・性行動に安易さを感じるようになり、命を生み出す【性に対して抱くアンビバレントな思い】に困惑していた。
結論
看護学生は人工妊娠中絶を自己の中で認識した時期や手段によって人工妊娠中絶に抱く思いに相違が生じていることが分かった。さらに学生は胎児と女性の両者の立場を理解しようとする中で、人工妊娠中絶に伴う困惑を体験していたことが明らかとなった。
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