Japanese
English
特集 日本老年看護学会第27回学術集会 グッドプラクティスセミナー
急性期病院における認知症看護はどう変わったか
認知症ケアにおける発想の転換
A Change of Mindset in Dementia Care
西村 知子
1
Tomoko Nishimura
1
1久留米大学病院
1Kurume University Hospital
pp.16-19
発行日 2023年1月31日
Published Date 2023/1/31
- 販売していません
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
Ⅰ.はじめに
「急性期病院において認知症高齢者を擁護する」日本老年看護学会の立場表明2016において「認知症高齢者」は,「認知症の診断の有無によらず,加齢や疾病等によって,日常生活の遂行に何らかの支障をきたすほどの認知機能の低下を示しつつも,潜在する力を有し,主体的に自分の人生を生きようとしている高齢者であり,コミュニケーション障害によりうまく表現できないとしても,自らの意思を有している人」とされている(日本老年看護学会,2016).
急性期病院の看護師が認知症高齢者と接する際,身体疾患の治療のため心身の機能が入院前より低下している状況が多いことに加え,治療に伴う症状アセスメントに注目し,生活背景の把握が後回しになる傾向もある.ゆえに,現在の認知症高齢者の状況がすべてであると思い,潜在する力に注目できていない状況がしばしば見受けられる.また,入院環境に適応することに時間を要し,理解力低下が認められることで「分からない人」という認識を看護師はもちやすい.そして,「自らの意思を有している人」である認識が薄れることにつながる.さらに,医療従事者は治療完遂を重視し,治療上の指示を時間どおりに遂行することを認知症高齢者に求める傾向もある.しかし,これらのことが認知症高齢者のさらなる混乱につながるため,認知症に適した対応を学び,細やかに配慮することが重要であると考える.
筆者は,認知症ケアチーム専任看護師としての活動を軸として,院内の認知症ケアに関わっている.そこで今回は,ケアの主軸を認知症高齢者の視点で考える発想の転換について,当院の取り組みを振り返る.
Copyright © 2023, Japan Academy of Gerontological Nursing All rights reserved.