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1.はじめに
私が看護学教育に直接かかわり始めたのは,1972(昭和47)年度の金沢大学医療技術短大部看護学科(現 金沢大学保健学科看護学専攻)からであり,現在まで40年以上も経過している.私が思うには,当時の看護界や看護教育機関では老年看護への関心は薄く,老年看護学は成人看護学の延長線上であった.しかし病院での実習の場では,高齢者の入院患者数が徐々に多くなり,あたかも老人看護の実習の場を思わせるような雰囲気を感じた.しかし,老年者の心身の特徴や病気の理解,ケアのあり様を理解するには,特別養護老人ホーム(以下,特養)や老人病院・老人保健施設等でのかかわりや実習体験が必要と考え,金沢市郊外の特養や近郊の老人病院での看護実習を試みた.1990年に老年看護学が分化し,1996年にはカリキュラムが改正されると聞いたが,それ以前から老年看護学の必要性や実践活動に挑戦したことに,私たちは自負していた時期を思い起こす.
老年看護の重要性や看護教育のカリキュラムへの必要性を感じていたなかで,日本老年看護学会(以下,本学会)の創設を知った.
折しも,1995年に日本老年看護学会が千葉大学の野口美和子先生の下で設立され,筆者もその時期から本学会に参加した.学会の今日までの経緯は別稿で語られると思われるため,私が本学会で経験した役割や事柄を中心にこれまでの流れを概観したいと思うが,かなり独断的な記述になっていることをお許し願いたい.
本学会会則によれば,本学会は老年看護学の進歩発展を図るとともに看護実践の質向上に寄与することを目的にしており,経過とともに若干の改正はみられるものの,直近の2013(平成25)年6月6日に改正の会則では,その目的を達成する事業では,学術集会の開催や機関誌などの発行,国内外の研究・教育並びに生涯学習事業,国内外の老年看護政策に関する事業,研究論文表彰事業,その他,本学会の目的達成に必要な事業が定められ,当初より拡大・活発化している.また,会員や役員,会議,学術集会,各種委員会,会計,会則の変更等に関することが規定されており,会則の変更には理事会・評議員会の議を経て総会の承認を必要とする等,会員の役割が重要である.
さて,本学会のこれまでの経緯と内容を私なりに理解するために,改めて学会誌『老年看護学』をひも解く機会となったが,全貌を明らかにするには役不足であり,私の記億と関連が大きかった範囲内で,概観したい.
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