地域の人々の活動の記録
むつみ会7年間の歩み
村田 カズ子
1,2
1むつみ会
2神奈川県秦野保健所
pp.654-656
発行日 1975年10月10日
Published Date 1975/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205648
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はじめに
夜空を見上げると,満天の星は降るばかりである。窓辺に寄り,その見事さに歓声をあげる幼児の天使のような無邪気さは,抱きくるんでも余りある程いとおしく,尊いものに思われる……。むつみ会発足のきっかけとなった母親教室(保健所の主催で,はじめて母親となる婦人に適切な知識を与える)に出席したのはちょうど7年前,昭和43年2月の大雪に見舞われた頃でした。我子のはじめての出産という,かつてない経験を目前にしての期待と不安は,測りしれぬものがありましたが,諸先生の講義や実技の指導を受けた3日間の母親教室から得たものは,わずかばかりの出産への自信であり,出産が女の強さと美しさであるという悲壮感にも似た決意のたかまりでした。同じような立場であることの気安さと連帯意識からか,短い日の触れ合いであったにもかかわらず,その時共に学んだ私達は,出産後も再び会うことを約し,雪解けあとの黒土を堅く踏みつつ家路につきました。確かに母親にとって,我子の誕生の瞬間程感きわまる時はなく,それは絶類の喜びでもあり,新しく息づく小さな魂に触れては深い敬虔な気持に包まれてしまったのは私のみではありますまい。
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