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高齢者は活動能力が低下することによって生活範囲が狭くなり,人との交流が狭くなりやすく,その結果,活動能力がさらに低下し,精神的活動能力の低下をも引き起こすという悪循環をきたしやすい状況にあります.看護職はそのような高齢者に対してさまざまな働きかけをしています.さらには転倒の危険性から,身体拘束などの倫理的な問題が場所に限らずありますが,リハビリテーションによって,歩行能力が安定し解決される場合も少なからずあります.介護保険の実施後4年目を迎え,要支援の高齢者のADLの低下や,軽度要介護者が多くなったことなどが問題となっています.その結果,自立支援を目的にしていた介護保険はその援助のあり方を見直す必要が生じてまいりました.従来,リハビリテーションは脳卒中モデルが中心に考えられてきましたが,今後は高齢になって徐々に生活機能が低下する廃用症候群モデルの対策も考える必要があります.これまでリハビリテーションは多くやればやっただけ,長ければ長いだけ効果があると考えがちでしたが,時期に応じて適切な方法を選択し,期間を区切って行うことが有効であるという考え方に変わってまいりました.このような方法で実施するためには,健康な高齢者の体力アップからターミナル期までを視野に入れ,保健機関,医療機関,介護施設,在宅までを含めリハビリテーションを考える必要があり,チームアプローチの重要性が高まっております.
そこで本シンポジウムでは,さまざまな分野における最新のリハビリテーションの知識や考え方を紹介いただき,老年看護におけるリハビリテーションアプローチとはどのようなものか,どのように高齢者に貢献できるのか,会場の皆様との意見交換を通して考えることに致しました.
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