日本老年看護学会第11回学術集会特集 シンポジウム
高齢者のせん妄の予測・予防とケア─その根拠と対策
綿貫 成明
1
1藍野大学医療保健学部看護学科
pp.26-30
発行日 2007年3月15日
Published Date 2007/3/15
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1.せん妄をとらえる意義
急性期領域におけるせん妄(または急性混乱・錯乱状態)の発症は,患者の「バイタルサインズの一種」と考える必要がある.認知機能や情報処理力の低下,周囲の環境変化への対応力・適応力が低下していること,すなわち身体内部の異常や予備能低下のサインであることが多いからである(酒井ら,2006).
さらに,せん妄の発症率の高さや発症期間の長さは,ケアの実践現場における多職種チームの連携度,コミュニケーションの質の高さ,すなわち効果的なチームワークが取れているかどうかという看護の質そのものを反映する(Finch-Guthrie, 1999).看護師は,交代勤務の責任のなかで,あるいは継続受持ちの責任のなかで,せん妄を可能な限り予防し,あるいは予防が無理な場合にはリスクを予測しながら早期に発見し,早期の対処,治療とケアに結びつけることができる.そのような効果的なケアが可能かどうかは,看護師のアセスメント力と行動力とにかかっている.
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