特集 腹膜透析の展開―生き残りをかけた在宅医療
はじめに―「患者中心」のコンセプトは腹膜透析の可能性を追求する原動力となっている
中山 昌明
1
1 聖路加国際病院腎センター
pp.927-928
発行日 2023年7月10日
Published Date 2023/7/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000002643
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われわれ腎臓専門医や透析専門医は,患者の生命予後の改善のために科学的な姿勢で臨床医学に取り組んできた.その一つが,EBM(evidence―based medicine)に基づいた臨床医学であり,心血管病発症,総死亡などのハードエンドポイントを重視する姿勢である.しかしながら,このなかで,対象とする相手を家庭・社会生活を営む一人の人間として位置づけ,個々の患者の意向や希望に沿った課題設定・対応が十分だったかと問われれば,問題があったことは否めない.そして,現在,患者層の高齢化,多疾患併存例の増加を背景に,透析医療リアルワールドでは,このひずみが顕性化し社会的な課題にもなっている現実がある.透析医療の未来を考えたとき,このひずみから目をそらすことはできない.
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