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平成12年度からはじまった介護保険制度において,在宅・施設の場で多くのケアマネジャー(介護支援専門員)が活躍しています.この中で看護職ケアマネジャーは,多領域のさまざまな職種の人々と目標を共有しながら,ケアサービスが適切に提供され利用者の生活が豊かになるよう,看護職能を生かした役割と機能を発揮することが期待されています.介護保険制度の出発から4年が経過しましたが,看護職ケアマネジャーの活動の実態は十分把握されてはいません.多くの課題がある介護保険制度の中で,看護職ケアマネジャーがどのような活動を展開しているのか,看護職という専門性を活かしながら施設・在宅でケアマネジャーの役割を果たしていくうえでどのような障害や問題を抱えているのか,悩んでいるのでしょうか.老年看護の質の向上を考えていくうえで,現在おかれている看護職ケアマネジャーの果たす役割は大きいと考えられます.研究活動推進委員会はこれらの問題意識の上に立って,平成15年度のワークショップのテーマを「介護保険制度における看護職ケアマネジャーの専門職としての役割と責務」と決め,準備を重ねてきました.当日は,話題提供者からの報告をもとに参加者と問題を共有し,老年看護の今後の課題を探る場といたしました.
話題提供は,しあわせの村在宅介護支援センターで看護職ケアマネジャーの役割をとりながら管理者の役割も果たしておられる上原喜久代氏と,聖隷ケアプランセンターの所長として活躍されている松井順子氏にお願いしました.上原氏は現在の職場の紹介,事業内容,業務実績などを詳しくご紹介くださり,事例を通して看護職のケアマネジャーの「強み」と「仕事のやりがい」をいきいきと語ってくださいました.そして,最後にケアマネジャーを担う職種は看護職が最適であること,しかし看護職の知識だけではなく,広く福祉行政や社会資源についての知識,地域にくい込んでいく行動力も必要であると強調されました.つぎに松井氏には事業所,事業内容の紹介につづき,看護職がケアマネジメントを行うメリット,デメリットについて現在の職務を通して詳しく述べていただきました.看護職がもっている「強み」は,一方で「看護へのこだわり」に陥りやすくなることも指摘されたように思います.看護職能だけではなく,またそれぞれの「法定資格職能」を越えたケアマネジャーという職種・職能を創出していく必要性についても言及されました.
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