特集 こんな生き方もある―地域に根づくナースたち
【インタビュー】
地域で生きていく人の生活を整えるライフサポーターとして
田中 靖代
1
1(有)ナーシングホーム気の里
pp.848-855
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100800
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編集室から
田中靖代さんといえば,知る人ぞ知る,日本における摂食・嚥下看護のパイオニア。豊橋市民病院で脳外科病棟をはじめ,整形外科病棟,リハビリテーション病棟等に勤務してきた田中さんは,いまから20年以上も前から,日常看護業務のかたわら,科学的看護,いまで言うEBN(Evidence-based Nursing)の追究にも多くのエネルギーを注いできた。脳卒中後遺症等による神経障害のために飲み込めない・誤嚥を繰り返すなど,食べたいのに食べられない患者に対する看護をライフワークにしてきたのである。解剖学や病態生理の知識を深めつつ,口腔内リハビリテーション手法の1つとしてアイスマッサージを開発,あるいは,食物を飲み込み易くするためのさまざまな工夫,嚥下しやすい姿勢の究明等々,その成果は編著『食べるって楽しい!看護・介護のための摂食・嚥下リハビリ』(日本看護協会出版会,2000年)に詳しい。
リハビリテーション病棟の婦長職にあった田中さんは,定年を前にした57歳のときに市民病院を退職した。田中さんが考え続けてきた看護を実現するには,病院組織の一員としてでは限界があり,地域で人々に直接看護を提供し,そこで自らを人々の評価に晒す,そのチャンスはいましかない,と決意したのである。看護への熱い思いと,自信がなければできないことである。2001年12月に新たな拠点となるデイサービスセンター「ナーシングホーム気の里」が完成。21世紀という新しい節目からまっさらな気持ちで事業に取り組みたいと考えていた田中さんの挑戦が始まった。
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