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1.はじめに
エムイーネットはもともと医療法人社団黎明会大塚クリニックの管理部門が独立して株式会社となった.現在は都内7か所の在宅医療診療所から業務委託を受けている.
各診療所では在宅患者の増加に伴い,人工呼吸器装着患者やターミナル患者等,医療依存度の高い緊急性を要する患者の割合が高くなった.在宅患者数が50名を超える頃から患者の管理が手作業では困難となっている.エムイーネットでは現在データベースの開発を行っている.既存の在宅医療関連のデータベースとしては主治医意見書のソフト,訪問看護ステーション用ソフト,介護保険ソフトなどがある.これらのソフトはすべて単独のソフトなので,それぞれのソフトを使用すると患者の住所,病名,電話番号,病名,薬の情報などFIX情報をすべてに入力せねばならず,2度手間,3度手間となってしまう.ある程度一体化されたデータベースソフトが必要であり,在宅医療に特化したソフトを作成した.
在宅の患者数が増加すると,日々の患者数の把握が難しくなる.入退院や医療ショートステイなどが頻繁になる.在宅の患者数や訪問回数の実績は直接経営の数字にかかわってくる.患者へのスケジュール表や他の連携機関への情報提供書,紹介状や礼状,指示書など月末,月初には特に書類業務が集中する.また在宅医療に従事する職種の方は多岐にわたっており医師,看護師,理学療法士,作業療法士,薬剤師,栄養士,MSW(メディカル・ソーシャル・ワーカー),医療事務,運転手,などがいる.
平成9年当時,医療依存度の高い患者は夜間の緊急電話があまりに頻繁にかかり,医師の労務管理の点が問題となった.しかし緊急コールの内容を分析してみると,医療面よりもむしろ医療機器の調整等,介護者にうまく指示を伝えられれば往診の必要がない患者が多いことが判明し,遠隔医療に着目した.しかし実際には市販の遠隔医療用のシステムは非常に高価な物が多く,診療所では手が出ないという現実に直面し,一度は遠隔医療をあきらめていた時期に(平成9年10月),NTTでフェニックスミニが発売されたことを知って,患者宅へはフェニックスミニ(テレビ電話)を,診療所にはフェニックス(TV会議システム)を使って遠隔医療を開始した.
また,NTTからCTIシステムというものの存在を聞き,平成10年4月1日よりテスト導人した.CTIシステムとは当院の在宅患者の管理用データベースシステムとナンバーディスプレイサービスを融合させたシステムである.患者やその家族が当院に電話をかけると,当院のパソコンを通って,テレビ会議システムにつながり,着信時に瞬時にして患者の情報をコンピュータに映し出すことができる.例えば,緊急時に患者の家族がパニックをおこし,名前が言えないケースにもいち早く対応が可能となった.在宅医療では医療機関と患者との距離的な課題などがあり,将来ITから受ける恩恵ははかりしれないと考える.下記にはこれまで,こころみた在宅医療現場での実験などについて述べる.
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