連載 私のすすめる本・6
「癒し」と距離
伊勢 英子
pp.496-497
発行日 2002年6月25日
Published Date 2002/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903224
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人生のある時期の5年間を,長いとか短いとか,美しかったとか辛かったとかは,後でふりかえって言えるかもしれない.だが,犬の5年間は平均寿命の約半分だ.その絶対的な数字の5年間を,人と犬が共有した時,犬の1日が人の何十倍もの濃度で過ぎていたことを教えてくれた犬がいた.
その犬は,甘えることと食べることしか能がないようにみえたが,実は待つことも耐えることも演技することもできたし,はずかしがることもふてくされることも人をなぐさめることも知っていた.
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