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◆都市集中型の発展と医療上の問題
このところミーティングやカンファレンスのためにプノンペン(カンボジアの首都)へ行く機会が頻繁にありました.行くたびにその変貌に驚くばかりです.シェムリアップの田舎町(…といっても今や観光のメッカとなり,豪華なホテルが山のようにできて,その変わりようも目を見張りますが)に住んでいる私には,新宿か渋谷の真中にいるような気分になりますよ.朝夕の渋滞は,数年前からかなりのものでしたが,その渋滞を作っている車たちはピッカピカの4WDがいっぱいですし,おしゃれなカフェができたり,日本の食品もあっちこっちで手に入るようになりました.納豆好きの私は,いつも納豆を購入し戻ってくるんです.それに,うれしいのが日本と同じような100均ショップができたこと.シェムリアップにも最近その支店ができて,ついつい足が向いてしまう今日この頃なのです.土地の値段も,このような都市化でうなぎのぼり.シェムリアップでも,半年で土地価格が10倍なんて所はざらで,“今日買わないと明日はもっと高くなってしまう!”と,人々は土地購入に目をぎらぎらさせています.
これだけ聞いていると国がずいぶんと潤ってきているように見えますよね.でも,これは都市集中型の発展で,地域格差は広がる一方.国全体となるとまだまだ潤いの“う”の字もないように思えます.とくに医療の面にはそれが顕著に表れています.先日,国連から発表されたレポート(The Official Summary of The State of the World's Children 2004, UNICEF)によれば,カンボジアにおける5歳以下の死亡率がこの10年で増加しているというのです.10年前の調査では,5歳以下の子ども1000人中115名が5歳の誕生日まえに亡くなっていると報告され,昨年の調査ではその数が138名に増加しているのです.なぜでしょう?
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