特集 看護研究における参加観察法
補講1
<講演>看護研究と実践のギャップを縮める—フィールド—リサーチによる場合
Shizuko Y. Fagerhaugh
pp.336-347
発行日 1982年5月25日
Published Date 1982/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200716
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一般に,看護婦の間には,次のような想定がある。①研究は専門職としての看護の成長のために必要であり,②看護実践の向上は研究に基づかなければならない,というものである。しかし,私が,研究を行なっていく間に,さまざまな臨床の場面で働く米国の看護婦との出会いからわかったことは,この想定どおりではなかったことである。
概して,平均的な就業看護婦は,研究にはつかの間の関心しか持っておらず,看護研究によって得られた結果を実践に応用することに関心を持っていない,ということがわかった。ほかの人たちも私のこの観察に同意している。看護研究と看護実践の間のギャップは,1つには看護研究という名前のもとに研究されていることが,看護実践の現実の問題とほとんど関係がないという事実と関連がある。多くの看護婦の博士論文からも,それらの研究の成果が看護実践に対して,ほとんど意味も持たなければ,影響も及ぼさないものであることがわかっている1-3)。看護における研究のほとんどは,看護婦と看護職に関するものであり,看護についての研究,すなわち患者をケアするプロセスおよび看護の実践上の問題についての研究は,非常に少ない4)。
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