連載 迷える・悩める・このデータ・1【新連載】
「はいはい」も「はいかい」も移動ADL自立?
星野 桂子
1
1国立医療・病院管理研究所
pp.37
発行日 2002年1月10日
Published Date 2002/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686902103
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厚生労働省は,移動のADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)について,「自立/自立・要時間/一部介助/全介助」と定義している。しかし,上田によれば,ADLには「できるADL」と「しているADL」がある。「できる」はリハビリ室などでの訓練時にはできていることを意味し,「している」は病室など生活の場で実際に行なうADLである(二木立,上田敏著『リハビリテーション脳卒中』第2版,医学書院)。
現場では,これにさまざまな修飾が加えられ,さらに複雑になる。ちょっと考えただけでも「できるけど,してはいけないADL」「できても見守る必要があるADL」が浮かんでくる。「できるけど……」は大きな手術の後や心疾患,肝臓疾患などで,患者は動くことができるのに医学的に安静を言い渡されている場合など。「できても……」は小さい子ども,麻痺などがあって転倒等の危険が大きい人,やや痴呆がかった人などである。
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