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Ⅰ.はじめに
人は人生において様々な危機に直面するが、病気、入院、手術も危機となることがある1)。私達は臨床において、こうした危機に直面した患者をしばしば経験する。危機状況にある患者に対しては危機理論に基いた看護介入が求められるが、理論に沿った看護介入については様々な先行研究が報告されている2)。危機に直面している人に対して危機介入を行なう目的は、危機プロセスにおける適応の段階にできるだけ順調に進めさせることができること、さらにこの体験が個人の成長につなげられるようにすることと言われている3)。
今回私達は外来通院時に入院・手術を拒否していたムチランス(以下MUDと略す)型慢性関節リウマチ(以下RAと略す)頚髄症患者を経験した。RAは進行性で原因不明の全身性・炎症性疾患である。患者はRA発症から三年の間に、ほぼ全身の関節を侵されて入院してきた。発病して三年の月日が経つ慢性疾患患者が危機に直面している意味を、入院時点で私達は充分に理解できずにいた。この患者に対して危機理論に基づいた看護を展開した結果、患者は術前までに手術を受容して手術を迎えることができた。患者はRA発症によって機能障害を起こし日常生活動作(以下ADLと略す)の低下を起こした。患者の危機は疾患の進行に伴う機能障害によるADLの低下が関係することが考察され、入院・手術のみならず疾患の受容ができていないと考えた。RA患者として生きる患者は、病状の変化などに伴って今後も新たな課題に直面することが予測される。そこで慢性疾患患者が直面する危機状況について、患者の危機の意味と適応プロセス、さらに患者が適応に至った看護援助を危機理論と慢性疾患の病みの軌跡理論を用いて振り返り考察したので報告する。
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