第12回日本腎不全看護学会・学術集会記録 【教育講演】
5.病みの軌跡
下山 節子
1
1日本赤十字九州国際看護大学
pp.39-42
発行日 2010年4月15日
Published Date 2010/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003100405
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
- サイト内被引用
「病みの軌跡」とは
「病みの軌跡」は,コービン(Corbin, J.F.)とストラウス(Strauss, A.L.)らが提唱した概念であり,慢性の病気をもつ人を理解するうえで有効な,慢性の病気管理のための看護モデルである.軌跡(trajectory)は,「病みの軌跡」における主要な概念で,病気の慢性的状態は長い時間をかけて多様に変化していく軌跡〔1つの行路(course)〕を示すという考えに基づくものである.コービンとストラウスらは,病院と家庭の両方における慢性疾患の管理上の問題を数年にわたって調査した結果,この軌跡の枠組みを導き出した.病気の慢性的状態は過去を振り返ったときに初めてわかるとされており,その経過は「軌跡の移行局面」で示される(表1).
また,病みの行路(illness course)は,起こりうる結果を予測し,随伴する障害に対応するなど,方向を定めて管理することも可能とされている.この枠組みの主な目標は生活の質(QOL)であり,そのプロセスを方向づけることを通して,あるいはそのなかでQOLをできるだけ高いレベルに維持することが管理の全体的目標である.
Copyright © 2010, JAPAN ACADEMY OF NEPHROLOGY NURSING. All rights reserved.