Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
- サイト内被引用 Cited by
Ⅰ はじめに
精神障害や難病、慢性疾患などの患者の家族は、疾病管理に関連した患者の食事や服薬、活動の制限などをめぐって様々な影響を受けていることが多い。それまでの家族間のコミュニケーションパターンや役割などに変化が起こり、それが長期化する中で葛藤が生じたりすることから、患者とともに家族の看護も重視されるようになっている。精神疾患の場合には、患者が示す症状や問題行動の因果関係や対応策を家族が理解することは難しく、患者が受診するまでの間に家族は疲労したり、傷ついている事も多い。外来や病棟においても、患者のケアをめぐるサポート資源として家族をとらえるだけでなく、家族全体を一つのユニットとして看護を行うことがすすめられる1)。
家族システム看護は、システム論、家族療法と看護という3つの主要概念が統合されており、その考え方として円環パターンを中心としたシステム思考を本質的な特徴3)としている。家族をシステムとして理解し、家族メンバーの何らかの変化が他のメンバーに影響し家族システムをも変化させ得る、という理解に沿ってアセスメントと介入モデルが構成されている。システムズアプローチと呼ばれる家族療法にもいくつかの学派4)があり、異なった介入技法を持っているが、システムというものの見方5)については、家族システム看護と共通している。家族メンバーのできるだけ多くに協力を求めてアセスメントと介入の面接を行うのがシステムズアプローチでの一般的な方法であるが、家族システムというものの見方5)を重視し、問題に関係する家族メンバーだけ、あるいは1人だけを面接することもある6)。
精神科入院患者の多くは家族内システムの観点で患者と患者に関連した問題を観ることが重視されるが、多くの家族メンバーの参加を求める事よりも、システムのものの見方を重視し可能性のある家族メンバーに働きかけることが容易な場合があるものと考えられる。そこで、軽躁状態を呈する分裂病患者を学生が受け持ったことをきっかけとして、30年以上の間、保護者役割を果たす母親に接して臨床指導者と共に関わったシステムズアプローチについて考察を試みる。
Copyright © 2001, Japan Society of Nursing and Health Care All rights reserved.