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はじめに
精神科実習において学生は、患者と接し、コミュニケーションを通して患者の精神的な健康問題を把握するように求められる。ところが精神科では、特に、患者が自身の問題を系統的に説明したり、明確に表現することが少なく、患者の表現を促し、整理しながら患者の表現の背後にあるものを確かめる。その中で、看護問題を確認し、具体的な看護援助に結びつけていくことから、学生があらかじめ持っている患者イメージは、接した患者の状況や看護問題の判断内容に影響する。また、学生が患者について強い否定的な認識を持ちながらそれを意識していないときには、患者とのコミュニケーション上に無意識的にあらわれることから、患者との関係で行われる看護にとって否定的な影響をもたらす、といわれる10)。
一般的に病棟は学生にとって学内とは異なった緊張をもたらすが、精神科病棟ではさらに、否定的な患者イメージ1)2)や病院等の閉鎖的な環境に関する不安が重なっているものと思われる。ところが、実習開始時の学生は自身が緊張感や不安感を持っていることは意識しているものの、具体的な不安内容を明確に意識していることは少ない。我々は、患者に対するきわめて否定的なイメージのために、患者の訴えをはじめから疑ってかかるような対応をする学生に遭遇している。蓮井ら3)は、こうした精神病イメージは日常の会話や社会生活の中で形成してきているものであるとしており、短期間の実習を経過した医療スタッフでさえ持続してもたれるものである4)といわれる。
精神看護教育という立場からは、学生が精神科実習時に、どのような不安をどの程度もち、それが臨床実習を通してどのように変化するのかという実態を把握することは教育内容の改善をするにあたって重要である。
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