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第25回年次大会学会企画レポート 25周年特別講演
日本災害看護学会25年の歩みと今後の課題—災害看護学の発展に焦点を当てて
Twenty five Years of Progress and Future Challenges for the Japan Society of Disaster Nursing: Focusing on the Development of Disaster Nursing
南 裕子
1,2,3,4,5
Hiroko Minami
1,2,3,4,5
1日本災害看護学会
2聖路加看護大学
3兵庫県立大学
4高知県立大学
5神戸市看護大学
pp.5-15
発行日 2024年5月31日
Published Date 2024/5/31
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7008200606
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1.はじめに
2023年の夏はことのほか暑く、地球温暖化が昨年よりも格段に進んでいることが実感し、同時に地震や豪雨などの自然災害も頻発するようになった。また、ロシアのウクライナへの侵攻など世界各地で紛争や戦争が勃発している。すべての人々の生命・健康・生活に大きな影響を約3年間及ぼした新型コロナウイルス感染拡大は、今年の5月に我が国の感染症分類において2類から5類に引き下げられた。それに伴い、日々一喜一憂した感染者の数や重症者の数が報道されなくなり、生活行動制限も一般社会ではあたかも元に戻ったような様子が見える。しかし、一方、医療・福祉関連の現場で働く人々や実習する学生たちには、マスクの着用はもとより日常生活においてもコロナ禍で生まれた「新生活様式」を厳密に守らされている。
「災害は忘れた頃にやってくる」という寺田寅彦の言葉のように、平和で穏やかな日常と大規模災害のような非日常をわけられると錯覚できていた頃とは大いに異なる時代、すなわち「非日常の日常化」を昨今は経験しているといえようか。そのような転換は何時起こったのだろう。看護学はそのような転換期のなかで何を準備し、発展させてきたのだろうか。
私は大まかに①転換期以前として1995年の阪神淡路大震災まで、②阪神淡路大震災から2011年の東日本大震災を経て新型コロナ感染症のパンデミックが始まる直前の2019年までを転換期とし、③2020年から今日、およびこれからに分けて、主に我が国を中心に考えてみたい。
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