特集 アルコール健康障害対策の推進
断酒会—これまでの歩みと今後の発展に向けて
大槻 元
1
1公益社団法人全日本断酒連盟事務局
pp.746-750
発行日 2017年9月15日
Published Date 2017/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208740
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はじめに
公益社団法人全日本断酒連盟1)(以下,全断連)は1963年に結成された.アルコール依存症当事者の自助組織として,全国の各地域に断酒会を創設し,あるいは既存の断酒・禁酒グループを糾合しながら順調な拡大基調をたどり,2000年代初頭の時点で正規登録会員数が12,000人,家族などを含めると20,000人を擁する全国最大の自助組織にまで発展した.しかしながら,近年,その会員数は増加から減少に転じ,それにつれて組織としての活動にも停滞現象が現われている.
本稿では,まず,全断連の結成以来の足取りを振り返りつつ,その間,断酒会がアルコール依存症治療の現場とアルコール関連問題の社会啓発に果たした役割を簡単に説明する.次いで,2013年に成立したアルコール健康障害対策基本法2)(以下,基本法)の制定活動における断酒会の活動を概説する.また,基本法に基づく多機関の連携の中で,断酒会はどのような役割を果たすことができるのか,そのために行うべき自己改革と今後の発展に向けた方向性について述べる.
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