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I.緒言
今日,がん患者と家族は長期にわたる療養期間においてさまざまな局面で繰り返し決断を求められる.がん患者が最期まで自分らしく生きるためには,看護師は,がんと診断された時から継続的に患者に寄り添い,患者の「どう生きたいか」に意識的に関わりながら意思決定を支えていくことが求められる 1).しかし,患者は,がんによって身体的にも精神的にも状態が変わりやすく,患者自身が意思決定を主体的に行うことが困難なことが多い 2).このような状況下にある患者が納得のできる意思決定を成し遂げるためには,看護アドボカシーの要素を取り入れた意思決定支援が不可欠である.
アドボカシーは,1970年代初頭からアメリカにおいて新しい看護の役割として注目されはじめた 3).わが国では1990年代に入り,その言葉が紹介されるようになり,2003年に改訂された「看護者の倫理綱領」の第4条において「看護者は,人々の知る権利および自己決定の権利を尊重し,その権利を擁護する」と明記され,患者の権利擁護者としての看護者の役割が打ち出された.これまで国内外において看護アドボカシーについて文献レビューや概念分析 4)〜8)がなされてきた.看護アドボカシーは広くは患者のために最善を尽くすことであるとされているが,患者の権利を擁護する,エンパワーするなどその意味は多様で明確な定義はされていない 9).また,従来アドボカシーは,小児や高齢者,精神疾患の患者らを対象とした報告が多く,がん看護における看護アドボカシーに焦点を当てた報告は見当たらない.そこで本研究は国内外の文献を基に,がん看護における看護アドボカシーの概念分析を行い,概念の構造を明らかにし,がん看護における看護アドボカシーを定義することを目的とする.
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