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資料
自由診療でワクチン療法を受ける膵臓がん患者の体験
The Lived Experiences of Pancreatic Cancer Patients Undergoing Cancer Peptide Vaccine Therapy
田村 眞由美
1
,
末次 典恵
2
Mayumi Tamura
1
,
Norie Suetsugu
2
1聖マリア学院大学看護学部
2佐賀大学医学部看護学科
1St. Mary's College, Faculty of Nursing
キーワード:
がんペプチドワクチン療法
,
膵臓がん患者
,
体験
,
cancer peptide vaccine therapy
,
pancreatic cancer patients
,
lived experiences
Keyword:
がんペプチドワクチン療法
,
膵臓がん患者
,
体験
,
cancer peptide vaccine therapy
,
pancreatic cancer patients
,
lived experiences
pp.55-63
発行日 2016年12月25日
Published Date 2016/12/25
- 販売していません
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
Ⅰ.研究背景
膵臓がんは,喫煙・大量飲酒,糖尿病や家族性の因子がその発生に影響しているとされ,特有の症状に乏しく,他の臓器の背後に位置するなどの点から早期発見が困難で,難治性のがんである1).わが国では臓器別がん死亡数で全臓器中第4位であり,年間3万人ほどが亡くなっている2).現在,有効な治療法は少なく3),5年生存率は進行がんでは2.8%で,最新の化学療法によっても生存期間中央値はおよそ11カ月と予後もきわめて悪い4).そのため,膵臓がん患者および家族は不確かな予後の情報や治療上の困難に直面し,短期間に大きな精神的衝撃や身体的苦痛を体験するといわれており5),開発中で臨床試験(以下,治験)段階にある先進医療への期待は大きいと考える.
現在,A大学で実施されている切除不能膵臓がんに対するがんペプチドワクチン療法(以下,がんワクチン療法)は,ワクチンと抗がん剤との併用により生存期間が抗がん剤単独療法より3.0カ月延長した6)という治験の結果が出ている.しかし,現時点では保険が適応されず,患者の経済的負担は大きい.また,外来で行われる治療であるために,交通費や宿泊などを患者自ら手配しなければならない.そのために,疾患に由来し生じる身体的な問題ばかりでなく,治療に付随する問題が生じていることが考えられるものの,自由診療で先進医療を受ける患者のニードや支援内容は明らかにされていない.
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