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I.緒言
現在,がんは慢性疾患としてとらえられ,がんとともに生きる時代へと転換してきている.なかでも甲状腺がんは,2000年代初頭の5年相対生存率が93.7%であり 1),1990年代の84.7%と比較し向上している.
頭頸部がんは,がんの部位や病期,患者のPerformance Statusなどにより,集学的治療が実施される.とくに甲状腺がんでは,甲状腺全摘術後,分化型甲状腺がんの残存甲状腺の破壊を目的とし,131Iによるアブレーションが行われ 2),Radio isotope病棟(以下,RI病棟)において経口より131Iヨウ化ナトリウムカプセル1,110〜3,700MBqを投与する.この放射性ヨード内用療法(Radioactive Iodine therapy:以下,RAIT)により分化型がんの10年後の局所再発率は低下するといわれている 2)が,術後甲状腺床にヨードを集積させるため,内服2週間前からヨード摂取制限を行うなど,患者にとっては生活上のさまざまな制限がある.RAITによる急性期有害事象としては,一過性唾液腺障害,放射線宿酔,骨髄抑制がある.また,甲状腺全摘出後においては甲状腺機能の変化による倦怠感や易疲労感など,体調の不具合を訴える患者も少なくない.
患者はさまざまな苦痛をともないやすい状況にあり,RAIT後の療養における看護は非常に重要である.また,甲状腺がんの人口10万人あたりの罹患率は,男性4.4%に比べ女性12.2%と多いが 1),家事や仕事をしながら生活する女性甲状腺がん患者のRAIT後の療養上の体験については十分明らかにされていない.RAITを受けた女性甲状腺がん患者の療養生活における体験を明らかにすることは,RAITを受ける患者の今後の看護を検討するうえで意義がある.
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